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間違いだらけの化粧品選び
女性は自分の気に入ったクリームか乳液を選んで使っているのですが、「なぜ、その化粧品を使っているのですか?」とためしに30〜40代の女性たちに聞いてみました。すると、90%以上の人は「自分の肌に合っているから使っている」と答えます。
(1)つけると気持ちがよい。 →(感触がよい。)
(2)かぶれなどのトラブルがおきない。 →(刺激がない。)
(3)肌が潤って小ジワも減るようだ。 →(肌が膨潤する。)
「自分の肌に合っている」ということは、一体どういうことなのでしょうか?
まず感触(1)の問題ですが、肌に一番良いは皮脂です。男性の肌は女性より皮脂が多いので、比較すると女性より老化が遅いといわれています。そうした皮脂をクリームとすれば、女性が使っているクリームや乳液はその代用品でしかありません。
ところが、代用品よりよいはずの皮脂は、ご存じのようにべたべたして気持ち悪く、感触もよくありません。このことからみても、感触がよいからといってよい化粧品であるとはかぎらないのです。(1)は根拠のない選択基準であることがおわかりでしょう。
次に刺激(2)の問題です。刺激を受けて肌が感作(かゆみ、湿疹、炎症などのアレルギーになること)するかしないかには個人差があります。感作しない人にとってはその化粧品は刺激毒ではありません。ウルシのように極端に強い刺激物は別として、他の人がほとんど平気なのに自分だけ感作したというときは、まず自分の肌に責任はないのか疑ってみるべきでしょう。
もしかすると、他の化粧品によって肌のバリアゾーンが壊れ、そのために刺激成分が侵入しやすい肌になってしまったためかもしれません。もしくは、不自然な生活や偏食が、バリアゾーンの形成を著しく低下させてしまったためかもしれません。
ですから、(2)は多くの場合、刺激そのものよりも、本来は問題にならない程度であるはずの刺激にも感作してしまう現代人の弱った肌に、より大きな問題があるのではないでしょうか。今日まで化粧品が年々刺激物をさけてつくられるようになってきたのに、そういう刺激物の化粧品にも耐えられなくなって、微香とか無香という化粧品が珍重されるようになってしまった現状に、このことはよく現れていると思います。
最後に膨潤(3)の問題です。クリームや乳液、とくに乳液は、原料構成から判断して肌に入りやすい化粧品です。水と脂が肌に入るのだから肌が膨らむのは当然です。しかし、油や水が入って物理的に肌が膨らんだからといって、それが肌の生理に役立つというわけではありません。
逆に、化粧品は私たちの肌には同化するはずのない異物ですから、入れば入るほど肌は異物を抱えることになって疲労し、肌の老化を早めてしまうのです。
いま肌を膨らませて小ジワが少なくなったように見えても、10年後や20年後に歳をとってからひどい肌をしているのでは、話しになりません。新聞紙を水に浸せばしっとりと膨潤しますが、水が蒸発すればカサカサになって前よりひどい紙になってしまいます。それと同じで、肌の表面の角質は紙に似た固くて粗いタンパク質ですから、何年もこのような行為をくり返していると強度を失って、やがて角質に守られている内側の肌までこわれかねません。このように(3)もまた、あまり根拠のない選択基準といえます。
化粧品を使うと肌が早く歳をとるという現代の不幸な状況は、肌を理解せずに感触だけで化粧品を選択し、使用することに、根本的な原因があります。そういう不幸を避けるために、まず肌のしくみを知っていただきたいのです。
注1)油脂=皮脂腺から分泌される半流動性油状の物質のこと。皮脂は水を微量しか含まない脂性のクリームです。
注2)バリアゾーン=肌の表面を角化層といい、外部の物質の侵入を防ぐ機能があります。この機能をバリアゾーンといいます。角化層は表面の角質層と、その内部の顆粒層よりなります。
注3)肌に入りやすい化粧品=乳液の製造に必要な合成界面活性剤という乳化剤は、とくにバリアゾーンを破壊する力が強力です。
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